平渓線~炭鉱の菁桐・天燈の十分・猴硐猫村

 台湾北東部の山間を走る「平渓線」。
 近年では、平渓・十分の天燈(ランタン飛ばし)で有名になりましたが、始まりは炭鉱会社が石炭運搬のために敷設した鉄道。終着駅の菁桐(チントウ)、天燈の十分(シーフェン)、猫で有名となった猴硐(ホウトン)も、かつては炭鉱で賑わった村々です。

 そんな炭鉱時代の歴史にも触れながら、ランタンを飛ばしたり、猫に会ったり、ローカル列車に揺られて森を抜けてみたり…。沿線の村々を楽しんでみませんか。

平渓線沿線図

平渓線路線図
 瑞芳~菁桐間は20km・約50分。
 気動車で、約1時間に1本の運行されています。
 
 厳密には瑞芳~三貂嶺は宜蘭線、三貂嶺~菁桐間が平渓線となりますが、三貂嶺は山間にあり、台北から行くと瑞芳で乗換、瑞芳~菁桐間は直通運転されています。

 ちなみに人気の観光地「九份」は車での移動が必要ですので、ご注意ください。

台湾屈指の炭田だった「菁桐」

菁桐駅と石炭荷積所
 平渓線の終着駅「菁桐(ジントン/Jingtong)」は、台湾屈指の炭田と言われた場所。平渓線も菁桐の炭田開発のために敷設されました。
 ホームから見て線路を挟んだ反対側に、石炭を上から貨物列車に積み込むための設備が残っています。
 木造の駅舎は、日本統治時代に建てられたもの。駅前の小さな老街には、昔の円柱状の郵便ポストが今も現役で使われています。
菁桐駅舎菁桐老街菁桐の郵便ポスト菁桐の竹筒
 菁桐では、七夕の短冊のように願い事を書いて吊るす風習が残っています。昔はこうして炭鉱夫たちの無事を祈願したそうです。

 さらに駅から少し歩くと坑道の入口跡(石底大斜坑)や炭鉱施設跡が残る「菁桐煤鉱紀念公園」や、かつての日本人集落には、日本家屋が今も残っています(日式宿舎群)。
菁桐石底大斜坑菁桐日式宿舎群


鉄道の危機も救った!天燈上げの「十分」

十分の天燈上げ
 かつて石炭採掘で栄えた平渓線沿線も、炭鉱の閉鎖とともに廃線の危機に…。しかし観光路線として生き残りを図り、大きな成果を上げた1つが「十分の天燈(テンダン)上げ」でしょう。

 夜空に打ち上げる「平渓天燈祭」で有名になりましたが、普段から打ち上げできます。願いごとを書いたランタンを気球の原理で飛ばします。

 でも、そこは線路の上!?
 人と列車が共存する光景は、おおらかな気持ちにさせてくれます。
十分商店街を抜ける平渓線列車十分駅通過
十分の風景十分瀑布
 駅から30分ほど歩くと、台湾では珍しい半円形の「十分瀑布」があり、平渓線もこの脇を抜けていきます。自然と文化が調和する癒しの旅先として、内外の観光客に愛されています。

「平渓天燈祭」は旧正月15日に開催

平渓天燈祭
 夜空に一斉にランタンを飛ばす「平渓天燈祭」は、毎年、旧正月の15日(元宵節)に開催。真下から見上げた光景は圧巻! 現地ツアーもあります。
 ですが、内外から多数集まり大混雑。周辺は交通規制が引かれます。もし周辺含めて観光するなら、お祭り以外での日の観光がおすすめです。
 「平渓天燈祭」詳細へ

炭鉱の記憶が息づく猫村「猴硐」

猴硐猫村のネコ
 猫好きの間では「猫村」として親しまれている「猴硐(ホウトン)」。
 昔、ネズミ対策で多く飼われた猫たちでしたが、今も住民の手で飼育され、警戒心ゼロ。観光客を和ませてくれています。
 ですが、猴硐は猫だけではありません!
 駅前の「猴硐煤鉱博物園区」には、炭鉱時代の石炭選別工場やトロッコ橋、当時の作業風景を再現した展示もあり、見ごたえがあります。
猴硐駅前の猫たち猴硐猫村の猫

旧・瑞三鉱業整煤廠(猴硐煤鉱博物園区)

猴硐煤鉱博物園区
 1920年に平渓線が開業すると、石炭生産の効率化を図るため、猴硐駅のすぐ東側に、石炭を選別・出荷できる工場(整煤廠)が作られました。
 工場は1990年まで操業されていましたが、閉鎖後、しばらく放置されたものの歴史的価値が高く、見学できるように整備。すごいのは、放置され劣化した状態で保存したこと。そこに「歴史」を感じます。
石炭選別工場放置されていた時代も物語る

 山で採掘された石炭は、トロッコを使って橋で基隆河を渡され、工場へと運ばれていました。
石炭選別所の全景模型炭鉱から延びるトロッコ橋基隆河を渡るトロッコ橋やっぱり猫が好き
 「猫」と「廃工場」という全く関係なさそうな組み合わせですが、実はどちらも「炭鉱」でつながっているのです。

「九份」へは車で!

夕方は九份へ
 台北からみれば、「十分」も「九份」も同じ方面にありそうですが、実際はひと山もふた山も越えた別の場所。
 残念ながら電車ではいけません。

 オーダーメイド観光手配の場合には、ご希望の観光内容に合わせて、コースを組みますのでご相談ください。
(公共交通機関のみの手配・ご紹介は行なっておりません。何卒、ご了承ください)